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観音さまのような優しい微笑で

告白を聴く朴さんの慈悲が

ハルモニたちに

辛い告白を訴えずにはいられなくさせ

その真実の浅ましさ、恐ろしさに

観る者は心をえぐられ

恥ずかしさにふるえてくる。

ハルモニたちは、嘘をつかない。

 

瀬戸内寂聴

​​2017年8月

◎金城実(彫刻家)

 

今回の『沈黙』から逆のぼって朴姉の映画を見てきました。この人しかできないと思う。

とにかく強い。徹底した写体と被写体への切り込みには、ここまでやるかと息をのむ。

在日を生き抜いた“恨”の哲学であろうか。数々の受賞とその裏打ちにあると思うとうれしい。もっと長生きしつつ権力と闘ってほしい。

 

 

◎藤本幸久(映画監督/『圧殺の海』『笹の墓標』)

 

作家には一生の中で、どうしても作らねばならぬ作品があります。『沈黙』は、そういう作品であると観ました。ハルモニたちの人生とスナムさんの人生が交差し、重なり、ずっしりと響く作品になっていると感じました。「記録」が作品となって未来に残されていくことになり本当に嬉しく思います。

 

 

 

◎パク・ヘミ/DMZ国際ドキュメンタリー映画祭プログラマー

 

『沈黙』は、二つの国に立ち向かい渾身の闘いを尽くした「慰安婦」被害者たちに、生涯をかけて密着し記録した、監督の勇気がきわ立つ作品である。 忘れてはならない悲劇の歴史を、一生にわたって記録した監督の神聖で崇高な勇気が、切実に輝いていた。

 

 

 

◎イ・ジンスク/映画プロデューサー(映画『密偵』企画/共同製作)

1940年代、戦争の時代を生きた女性たちは数十年間、重い沈黙を守ってきた。 映画『沈黙』は長い歳月すでに老女となった時代の女たちの<恨-ハン>を掘り、その沈黙を破る偉大な叫びであるー。

 

 

◎関田寛雄日本基督教団牧師・青山学院大学名誉教授) 

 

国家、軍隊、女性、これがどういうつながりにあるか。国家の権力が暴発する時にまず苦しむのは女性だということが如実に表されている映画。これは残るべき証言であり残すべき証言であると思う。本当に貴重なドキュメントです。

 

 

 

◎安井喜雄 /プラネット映画資料図書館代表

 

9月末から開かれた韓国のDMZ国際ドキュメンタリー映画祭で朴壽南監督の『沈黙』が初上映され、韓国の観客とともに鑑賞するという幸運に恵まれた。この作品は16ミリフィルム、ベータカム、DVカム、VHS、8ミリビデオなど様々な撮影素材をデジタル編集しているので、どのように完成するのか楽しみだった。

 

「記録なければ、事実なし」の土本典昭監督の名言は、この作品のために言われた言葉のような気がして映像記録の重要性を改めて認識した。朴壽南監督の長年にわたる撮影素材の蓄積があればこそ完成したもので、誰しも成し得なかった偉業と言える。

 

上映後の質疑応答でも観客から貴重な記録への感謝の気持ちが述べられ感慨深いものがあった。韓国の監督でなく日本在住の監督が描いた点で韓国での評価が高かったと思われ、DMZの映画祭で特別賞を受賞したのもうなずける。映画祭で見ることができたのは限られた人たちだけだったが、今後は韓国のみならず日本や世界の一般観客に向け上映を拡大していきたいものだ。

 

 

 

◎キム・ミレ/ドキュメンタリー映画監督

 

『沈黙』は慰安婦についての「もうひとつの歴史」を私に語ってくれた。 監督と主人公たちは、歴史の片隅で心身に刻まれた戦争の残酷な記憶を沈黙させる韓国と、日本社会の両方に抵抗している。戦後も当事者たちに沈黙を強いたこの社会を生きなくてはならなかった彼女たちの苦痛と証言。そして彼女たちを記録してきた朴壽南監督の、もうひとつの沈黙。彼女たちの長い年月の「沈黙」が声となり、広く鳴り響くことを願い、この映画を応援します。

 『NoGaDa(土方)』(05)『外泊』(09)第11回ソウル国際女性映画祭

第14回釜山国際映画祭,山形国際ドキュメンタリー映画祭

 

 

◎ムン・ジョンヒョン/ドキュメンタリー映画監督

 

真心と誠意で作られた映画、そして正義のために作った映画です。 多くの人々がこの大切な映画『沈黙』を通し悲劇の韓国の歴史を振り返り、新しい歴史を生み出していく、そんな力を得られたらと願います。
『龍山』(山形国際ドキュメンタリー映画祭(11 )『境界』『崩壊』『Grandmother's Flower』>


 

 

◎山谷哲夫/映画監督・作家

 

確かに朴壽南監督の新作「沈黙」は大作である。94~98年の4年間の元慰安婦の日本政府相手の孤立無援の闘争が良く出ている。少数派の慰安婦は主流派の挺対協派の支持もなしに、日本政府相手に戦いを挑む。結果は門前払いである。朴さんの94~98年の命がけの支援が良く伝わってくる。多くの人の共感を呼ぶだろう。

恐らく代表作であり、遺書だとぼくは受け取った。

『沖縄のハルモニ』(1978)

◎田中美砂/山梨平和を語る会・事務局

 

「沈黙」は日本でこそ観られなければいけない。必要なのは政治的な収拾ではない。そのことを認識すべきは日本政府であり、その筋の評論家や学者であり、そして誰よりも私たち自身ではないだろうか。もう一度、原点に立ち返ろう。

「沈黙」の証言に耳を済まそう。「従軍慰安婦」とは何だったのか。戦場の慰安所で生き地獄を強いられた被害者に身を置き換えて、それがもし我が母だったら、娘であったら、自分であったらと、思いを巡らす時間こそ、私たちの感性を耕してくれるものと信ずる。

◉寄稿を収録した映画 パンフレットもご参照ください

『沈黙』を応援します

2017年第91回キネマ旬報ベスト・テン ​文化映画 第6位 発表

REVIEWS 한국어

 

◎渡辺

この映画には自ら複雑な出自である朴壽南監督の、ハルモニたちを見る眼差しと姿勢がただごとではないほど強く感じられ、ハルモニと監督の人格が画面で一体化しているほどで、ハルモニたちを見据える監督の芯の強さは今までに見られなかったものだ。

キネマ旬報:全文<文化映画>渡辺実 PDF ​

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上島春彦

監督朴壽南のこの問題への取り組みの発端から現在までが手際よく語られ、必見。しかもそこに沖縄戦が影を差していたことの意味は極めて重い。★★★★

上野昴志

本作で、日本政府の謝罪と賠償を求める〈韓国「従軍慰安婦」被害者の会〉の女性たちも、次々と亡くなり、やがて一人もいなくなるだろう。すると、被害者不在をこれ幸いとばかりに居直るのは目に見えている。そのとき、この記録こそが、事実を証明するのである。★★★★

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